体の不調は「気・血・水」のバランスから整える|漢方的セルフケアで美と健康をサポート
知っておきたい、漢方の基本「気・血・水」のお話

「気・血・水(きけつすい)」という言葉を聞いたことはありますか?これは、漢方の考え方における基本のキホン。体の状態を把握し、最適なケアや治療法を見つけるための重要な視点です。
「気」は私たちのエネルギーの源、「血(けつ)」は体中に栄養を巡らせるもの、そして「水(すい)」は体内をうるおし、流れを整える役割を持っています。どれかが不足したり、滞ったりすると、体や心のバランスが崩れてしまうこともあるのです。
カラダをつくる「気・血・水」——それぞれの役割と不調のサイン
「気」——目には見えない生命エネルギー
【働き】 気は、体の内側からめぐるエネルギー源。血や水の流れをスムーズにし、体を温めたり、病気から守る力を担っています。
【気が不足すると】 エネルギーが足りない状態になり、疲れやすくなったり、やる気が出ないなどの不調が現れやすくなります。
【気が滞ると】 ストレスが原因で気の巡りが悪くなると、胃腸の不調やイライラといった症状が出やすくなります。
「血」——体中をめぐる栄養の流れ
【働き】 血は、酸素や栄養を全身に運ぶ重要な役割を担っています。臓器の働きを助けたり、心を安定させる作用も。
【血が不足すると】 体のすみずみまで栄養が届かなくなり、肌や髪の乾燥、不安感などが起きやすくなります。
【血が滞ると】 血流の悪化により代謝が落ち、シミやそばかす、冷え、肩こり、頭痛、月経痛などのトラブルが現れやすくなります。
「水」——カラダをうるおす大切な要素
【働き】 水は、血液以外の体内にある水分のこと。全身をうるおすだけでなく、血をつくるための材料にもなります。
【水が不足すると】 潤いが足りなくなり、髪や肌がパサついたり、体の熱がこもって手足がほてることもあります。
【水が滞ると】 不要な水分の排出がうまくいかず、体がむくみやすくなったり、汗っかきや下痢といった症状が出ることもあります。
「気・血・水」が整えば、カラダは自然と美しく健やかに
気・血・水のバランスが取れていることが、美しさと健康を保つ秘訣とされています。それぞれの巡りや補充を意識した食生活を取り入れることで、日々の不調にもやさしくアプローチできます。
◆気の巡りをよくするには
香りの良い食材や、自然の青い色を感じる食べものが効果的です。例:ハーブ、しそ、みかん など
◆気を補うには
イモ類やごはん、豆類、卵など、エネルギー源となる食品を意識して。例:さつまいも、大豆製品、卵 など
◆血の巡りをよくするには
血液をサラサラにしてくれる食材がポイント。例:青魚、ニラ、玉ねぎ など
◆血を補うには
黒い食材や赤い食材、貝類などが、血を養うのに役立ちます。例:ひじき、黒豆、黒ごま、あさり など
◆水の巡りをよくするには
胃腸の調子を整えることが大切。食物繊維が豊富な食材もおすすめです。例:根菜類、きのこ類、海藻類 など
◆水を補うには
乾燥しがちな体に潤いを与える、みずみずしい食材を取り入れてみてください。例:乳製品、夏野菜、フルーツ など
「なんとなく不調」に気づいたら——疲れやすい体を整えるヒント
日々の生活の中で、「病院に行くほどではないけれど、なんだか調子が悪い」と感じること、ありませんか?そんなときは、漢方の視点で「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスに目を向けてみましょう。毎日の食事やちょっとした行動を意識するだけで、体のめぐりを整え、不調の改善につながることもあります。

1. 疲れがなかなか取れないときに
体を支えている3つの基本要素、「気・血・水」。これらが不足すると、疲れが取れにくくなり、体が重く感じられることも。まずはしっかりと栄養をとること。そして、それぞれのバランスを整える食材を意識的に取り入れて、体を内側から労ってあげましょう。
◆疲れのタイプを知って、食材でケア
- 頑張りすぎて疲れているなら: さつまいも
- 眠りが浅いなら: レバー、黒豆、海藻類、補血作用のある肉類
- 乾燥が気になるなら: 卵
◆行動で改善
冷えが疲れの原因になります。夏でも素足を避け、靴下を履くなどして体を冷やさないことが大切です。栄養や睡眠に気を配っていても、体が冷えて血流が悪いと回復力は十分に発揮されません。体温を保ち、めぐりを整えることで、疲れにくい体の土台を作りましょう。
2. 胸やけ・胃もたれを感じたときに
食後の胃もたれや胸のあたりのムカつきは、気の巡りが逆流しているサインかもしれません。内臓の機能が低下しないよう、食事や水分の摂り方を見直してみましょう。
◆食で改善
油っこいものや甘いもの、濃い味付けの料理は胃腸に負担がかかります。なるべくシンプルでやさしい味を意識しましょう。
暴飲暴食のあとには、キャベツ(加熱して)や大根おろし(消化促進)などを取り入れると効果的です。
◆行動で改善
気の流れを整えるには、香りの力も活用を。柑橘系など好きな香りをかぐことで気分がリフレッシュし、胃腸の調子も整いやすくなります。
3. 肩こりがつらいときのアプローチ
肩こりの原因は、漢方では「瘀血(おけつ)」と呼ばれる血の巡りの悪さによるものと考えられます。スマホやPCの使いすぎ、ストレス、食生活の乱れが引き金になることも。
◆食で改善
酢は血流改善と老廃物の排出を促進します。毎日大さじ1杯を目安に。青魚(DHA・EPA含む)もおすすめです。
◆行動で改善
目の酷使も血の不足に直結します。パソコン作業中は1時間に1回を目安に肩回しなどのストレッチを。少しでも目を休ませる時間を作りましょう。
4. 腰痛が気になるときに意識したいこと
年齢を重ねるごとに気になりはじめる「腰の痛み」。寒い日や雨の日に悪化する場合は、冷えや湿気が原因かもしれません。
◆食で改善
- 唐辛子: 発汗を促し、体を温め血行促進
- しょうが: 加熱するとさらに温め効果アップ(摂りすぎ注意)
- ねぎ: 温活・風邪予防・疲労回復に◎
◆行動で改善
冷え対策を徹底しましょう。お風呂はシャワーで済まさず、39~41℃のお湯にみぞおちまで15分浸かってじんわり汗を。カイロや腹巻きも活用し、夏でも冷房による冷えに注意が必要です。
5. ほてり・多汗が気になるときに
暑くないのに火照る、汗が止まらない…そんなときは、体の潤いや血の不足、またはエネルギー不足の可能性があります。
◆食で改善
- 米、いも類(気を補う)
- 豆類、きのこ類、アボカド(エネルギー補給&代謝サポート)
◆行動で改善
水分補給は「がぶ飲み」せず、こまめに少しずつ。冷たいものばかり飲まず、常温か温かい飲み物を意識しましょう。
水分を多くとっても、代謝がうまく働かなければ内臓に負担がかかるだけです。はと麦・きのこ類・豆類など、代謝を促す食材も合わせて取り入れましょう。
おわりに——「気・血・水」を整えて、自分らしく健やかな毎日を
なんとなく続く不調も、「気・血・水」のバランスを見直すことでやわらげることができます。
今日の一食から、ちょっとした行動まで。できることから整えて、健やかに、自分らしく過ごしていきましょう。